国家と個人
島崎藤村『夜明け前』と現代
ジャンル [日本文学・思想]2006年9月20日発行
四六判上製・224頁
定価:本体2,500円+税
ISBN 4-903174-07-7 C0095
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時を超えて、名作を熟読玩味する!
[この国]のこれまでとこれから。
国家とは何か。人間の尊厳とは何なのか。
日本の〈近代〉とは、いったい何であったのか。
狂乱の時代を凝視しながら、
最後まで己れ自身を偽らずに生きた
島崎藤村の壮大な叙事詩的世界を読む!
島崎藤村の「夜明け前」は、馬籠宿で本陣・問屋・庄屋を兼務する青山半蔵の悲劇的な一代記であると共に、国家権力に翻弄されて生きる地方の一庶民が官尊民卑の政策に異議を申し立てた高度の文明評論でもある。藤村は幕末から明治維新にかけて木曽谷住民の生活を守るために奔走した父・島崎正樹をモデルにして半蔵を時代の犠牲者に仕立て、歴史を背景にしながら青山一族の浮沈を実証的に描いて見せた自然主義文学の最高傑作である。
目次
一、 「夜明け前」の性格とゾライズム
二、 幕藩体制崩壊と黒船の脅威
三、 栗本鋤雲著『匏菴十種』の翻案
四、 和宮降嫁の波紋と天狗党の義挙
五、 報復劇としての王政復古クーデター
六、 戸長罷免とお粂の自殺未遂
七、 献扇事件とその余波
八、 神官罷免と生家追放
九、 万福寺放火事件の顛末
十、 平田門下・青山半蔵の最期
結、 「夜明け前」と現代