坂口安吾 戦後を駆け抜けた男

相馬正一(岐阜女子大学名誉教授)著

ジャンル[日本文学・思想]
2006年11月20日発行
四六判上製・456頁
定価:3,900円+税
ISBN 4-903174-09-3 C0095

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生誕百年の時を超え、
いま蘇る安吾の「人と文学」。
いま、安吾がおもしろい。

安吾/異能のユマニスト!
生きよ堕ちよ、絶対の孤独に。
坂口安吾は文学のふるさと、
人間のふるさとである。

坂口安吾の文学について

坂口安吾の内部には、時代の本質を洞察する文明評論家と
豊饒なコトバの世界に遊ぶ戯作者とが同居しており、それが
時には鋭い現実批判となって国家権力の独善や欺瞞を糾弾し、
時には幻想的なメルヘンとなって読者を耽美の世界へと誘導する。
安吾文学の時代を超えた斬新さ、詩的ダイナミズムの文章力、
そして何よりも、奇妙キテレツな人間どもの生きざまを
面白おかしく説き明かす〈語り〉の巧さ、などの魅力の秘密も
そこに由来している。

目次

はじめに いま、なぜ安吾なのか

一、 倫理としての「堕落論」
二、 小説の神様・志賀直哉批判
三、 女体の神秘「白痴」の世界
四、 自伝的小説という名の虚構
五、 教祖・小林秀雄への挑戦状
六、 「桜の森の満開の下」の手法
七、 盟友・太宰治への鎮魂歌
八、 純文学作家の本格推理小説
九、 飛騨のタクミと魔性の美少女
十、 安吾史譚・柿本人麿の虚実
十一、サスペンス・ドラマ「信長」
十二、巨漢・安吾の褌を洗う女
十三、安吾、全裸の仁王立ち
十四、未完の長篇「火」の破綻
十五、負ケラレマセン勝ツマデハ
十六、無頼派作家の変貌と凋落
十七、風雲児・安吾逝く

おわりに 詩魂と淪落と

相馬 正一(そうま・しょういち)

昭和4年(1929)青森県に生まれる。弘前大学卒業。弘前大学非常勤講師、上越教育大学教授、岐阜女子大学教授を歴任。現在、岐阜女子大学名誉教授。日本近・現代文学専攻。主な著書に『若き日の太宰治』『評伝太宰治』『井伏鱒二の軌跡』『若き日の坂口安吾』『太宰治と井伏鱒二』『国家と個人』(人文書館)など。
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