漢字を飼い慣らす
日本語の文字の成立史
ジャンル[言語学・日本語論]2008年9月10日発行
四六判上製・256頁
定価:2,300円+税
ISBN 978-4-903174-18-1 C1081
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「日本語」はどのようにして成立したのか?
漢字を日本語の表語文字に作り替える!
中国・朝鮮から受容・摂取した漢字を、いかに日本語化したのか。
豊かな日本語の表語文字はどのように創造され、自らの言語として
適合(アダプテーション)させたのか。
日本語は漢字と仮名を両用し、交えて書く。
近年はローマ字を交えて書くことも多い。
しかも、漢字に音訓両様のよみがあり、仮名に平仮名と片仮名がある。
私たちはこれら複数の文字体系を使いこなし、複雑な書記方法で日本語を
書きあらわしている。この世界に類をみない特徴は、漢字を日本語の
「表語文字」に作り替えて「飼い慣らし」、「品種改良」したからである。
気鋭の文字言語研究者による明晰な漢字日本語化論!
目次
第一章 日本語の文字体系と書記方法の個性
第二章 日本語には固有の文字がなかった
第三章 古典中国語の文字を借りて日本のことがらを書く
第四章 訓よみ──漢字に日本語をあてて読み書きする
第五章 音よみ──古代中国語を日本語のなまりで発音する
第六章 万葉仮名──漢字で日本語の発音を書きあらわす
第七章 漢字と日本語との接触──八世紀の兄弟姉妹概念と語彙
第八章 漢字で日本語の文を書きあらわす──古事記の選録者たちの工夫
第九章 日常業務と教養層の漢字使用──平仮名・片仮名の源流
第十章 仮名で日本語の文を書きあらわすには?
補説 古代の漢字資料としての出土物
付録 紫香楽宮跡 万葉歌の木簡発見
犬飼 隆(いぬかい・たかし)
1948(昭和23)年 名古屋市生まれ。東京教育大学大学院文学研究科博士課程単位所得退学。
学習院女子短期大学助教授、神戸大学教授を経て、
現在、愛知県立大学文学部国文学科教授。
文字言語を対象とする理論的・実証的研究に従事し、
古代史・考古学との学際研究をすすめている。
1993(平成5)年、筑波大学より博士(言語学)の学位を授与。
主な著書
『上代文字言語の研究』(笠間書院、1992、2005年に増補版)
『文字・表記探求法』(朝倉書店、2002)
『木簡による日本語書記史』(笠間書院、2005)
共著
『古代日本の文字世界』(大修館書店、2000)
『美濃国戸籍の総合的研究』(東京堂出版、2003)
『古代日本 文字の来た道』(大修館書店、2005)
『言語と文字』〈列島の古代史6〉(岩波書店、2006)
等がある。