檀一雄
言語芸術に命を賭けた男

相馬正一(日本近・現代文学研究家)著

ジャンル[日本文学・思想]
2008年12月15発行
四六判上製・552頁
定価:4,800円+税
ISBN 978-4-903174-20-4 C0095

(→画像をクリックで拡大できます)

檀一雄という吟遊詩人がいた。

逝って三十二年、清冽な魂が蘇る!
はじめての本格的評伝!

永遠の旅情を生きる[漂泊者]の生涯と作品!
つきつめて、文芸は一体何をなしうるか。
“芸術即人間”としての檀一雄、
われ詩魂を確立してみたい。
悠悠たるかな、浪漫の夢を追って。


「なによりもまず、亡き父に読んでもらえたらと、
思わずにはいられませんでした。
娘の私も知らなかった『檀一雄』が、
この本のなかには生きています。父はどうして作家に
なったのか。そもそも、どんな作家だったのか……
考えてみれば、はじめて知ることばかりでした。
三十三回忌の今年、父と再びめぐり逢えた思いです。」

檀ふみ (女優・エッセイスト)


反俗の吟遊詩人・檀一雄

いわゆる破滅型無頼派の坂口安吾・太宰治・檀一雄の三人は、
詩的真実を告白する独自の文体の作家として定評があるが、
とりわけ檀一雄は放浪の吟遊詩人として波瀾に充ちた
六十四年の生涯をひたすら己れに忠実に生きた文士である。
短篇長篇を問わず、奔放自在な手法を駆使して産み出された
檀文学には随所にメルヘン風の宝石がちりばめられており、
読者は知らず識らずのうちに幻妙不可思議なロマンの世界に
浸っている。それはまた、言語芸術に命を賭けた男の孤独な
魂から滴り落ちる蛍火であり、反俗を貫き通した吟遊詩人・
檀一雄の純粋抒情の境地である。


目次

特別寄稿感想 この本のなかに、「檀一雄」が、生きている。
檀ふみ(女優・エッセイスト)
はじめに 文学史の陥穽
一、悲運の生い立ち  二、反逆児の青春  三、学生作家の誕生
四、芥川賞を貰い損ねた男  五、疾風怒濤の時代  六、家庭という名の足枷
七、職業作家への道  八、直木賞作家の挑戦  九、三年連続の凶事
十、無頼派作家の末路  おわりに 流連荒亡の詩人  あとがき

相馬正一(そうま・しょういち)

1929(昭和4)年、青森県に生まれる。
弘前大学卒業。弘前大学非常勤講師、
上越教育大学教授、岐阜女子大学教授を歴任。
岐阜女子大学名誉教授。
太宰治研究により弘前大学より名誉博士の称号授与。(2005)
専攻は、日本近・現代文学。

主な著書
『若き日の太宰治』(筑摩書房 1968)/(同増補版 津軽書房 1991)
『太宰治と井伏鱒二』(津軽書房 1972)
『評伝 太宰治』(第一〜三部 筑摩書房 1982〜1985)/(同改訂版 上・下 津軽書房 1995)
『若き日の坂口安吾』(洋々社 1992)
『井伏鱒二の軌跡』(津軽書房 1995)
『国家と個人 島崎藤村「夜明け前」と現代』(人文書館 2006)
『坂口安吾 戦後を駆け抜けた男』(人文書館 2006)等がある。

先頭へ