風の人──寺尾勇と飛鳥保存
ジャンル[歴史・民俗学・文明論]2010年3月7日発行
四六判上製296頁
予定価:2,381円+税
ISBN 978-4-903174-24-2 C0021
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フロンティアエイジ http://www.f-age.com/
平城京遷都千三百年!
万葉のふるさと飛鳥保存とは何だったのか!
文化的景観形成事業は不要なのだろうか。
“風のごとき実存”を生きた
稀有な美学者の「保存の哲学」とその軌跡。
元朝日新聞文化財記者が編んだ貴重な記録!
“風土”のありようを問い直しながら!
風土はそこに住む人間を離れては存在しない。風土はそこに住む人間生活の客体化であり、自己発見である。「風土」の意味を確立しない保存は如何なる美名もつとも、それは破壊につながるからである。人々が全人的に生きる「存在の証明」である。保存という自己完結、自己閉鎖としての限界ではなく明るく広い地平に於ける人間の発見である。
不思議な欲望と、底なき絶望にあがき悩んだ聖徳太子、蘇我馬子、万葉の宮廷人の、ちとせの古い血をひいたと思われる古代日本がそのまま生き残った飛鳥人(あすかびと)独自の素朴な顔のひたいのしわに……。
(寺尾勇語録・本文より)
目次[内容構成案]
第一章 | 風と共に ──縁の下の力持ち |
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第二章 | 大和のこころと歴史的風土を守る ──飛鳥保存キャンペーン |
第三章 | “まほろば”の明日のために ──「俗化する大和」から「飛鳥保存」へ |
第四章 | 哀愁の古都に立って ──古代景観の保存と住民の暮らし |
第五章 | 飛鳥の未来へ ──寺尾試案(有料史跡公園化) |
第六章 | 古代の青に遊ぶ ──飛鳥歴史散歩 |
第七章 | 風の十字路 ──メディアが紹介した寺尾勇と飛鳥保存 |
第八章 | 歩けばカツカツと古代の音が ──景観保存問題としての飛鳥保存運動 西川幸治+高橋 徹 |
高橋 徹(たかはし・とおる)
東チモールの子どもたちと
1938(昭和13)年、大分県臼杵市生まれ。
1963年 京都大学農学部農林経済学科卒。
1998年 朝日新聞社定年退職。
現在はフロンティアエイジ編集委員。
主な著書
『明石原人の発見—聞き書き・直良信夫伝』(朝日新聞社、1977年)
『古代史を変える—考古学記事をどう読むか』(講談社、1979年)
『道教と日本の宮都──桓武天皇と遷都をめぐる謎』(人文書院、1991年)
『発掘された『万葉集』の謎──宮殿から信仰まで遺跡が語る万葉時代の実像』(日本文芸社、1994年)
『三蔵法師のシルクロード』(朝日新聞社、1999年)
『古代への遠近法──考古学記者のファイルから』(NHKブックス、1998年)
『卑弥呼の居場所 狗邪韓国から大和へ』(NHKブックス、2001年)など多数。