装画『杏の里』 佐藤 明

父の三線と杏子の花

伊波敏男(作家・長野大学客員教授・NPO法人クリオン虹の基金理事長・信州沖縄塾塾長)著

ジャンル[沖縄問題・人間尊厳論]
2015年8月10日発行
四六判上製・312頁
定価:3,556円+税
ISBN 978-4-903174-32-7 C0030

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人間の春、沖縄の春を待ちながら。

挫折と苦悩の半生の記『花に逢はん』を著して、ハンセン病問題の語り部となった伊波敏男は、「すべて国民は、個人として尊重される」という人権精神や、沖縄問題の根底にある歴史と文化と沖縄人〔うちなーんちゅ〕の心を見据えて、「にが世を、あま世になす」未来を拓くために切々と訴える。
平和という春べには、いまだ遠い軍事基地の重みに耐えつづける沖縄〔うちなー〕の島を、日本〔ヤマト〕及び日本人〔ヤマトンチュ〕はどうすべきなのか、と。
在所信州の「千曲川の辺から」、産土〔うぶすな〕の地「沖縄へ」、そして本土〔ヤマト〕に向かって発信を続ける「地方に住む一物書き」が綴る真摯な記録!

希望の未来を見出すために。

[目次]

はじめに花桃の里と父の三線と
1.わが道を〜私の年代記(クロニカ)【二〇〇四年】
2.命(ぬち)どぅ宝〜遠い記憶と過ちの記録、過去を未来へ【二〇〇五年】
3.時代を紡ぐ糸〜永遠の現在【二〇〇六年】
4.流れに抗(あらが)いて〜また陽は昇る【二〇〇七年】
5.我々は何者か〜沖縄の自己同一性(アイデンティティ)、
主体性について【二〇〇八年】
6.月桃(さんにん)がもう咲く〜小さき者の視座から【二〇〇九年】
7.欺瞞の饗宴を超えて〜平和と人権、そして環境を守るために【二〇一〇年】
8.あの黒い海が〜東日本大震災、悲しみと苦しみのむこうに。【二〇一一年】
9.切実な希い〜東北再生・脱原発・沖縄問題と。【二〇一二年】
10.少年は怒っている〜民主主義とは何か平和とは何だろうか【二〇一三年】
11.“沖縄よ何処へ”〜万国の津梁(しんりょう)〔架け橋〕となし。【二〇一四年】
おわりに蒼き海への祈り〜人間の尊厳と沖縄の尊厳と

伊波敏男(いは・としお)

1943(昭和18)年、沖縄県生まれ。作家。長野大学客員教授。NPO法人クリオン虹の基金理事長。信州沖縄塾塾長。

ハンセン病療養施設、「沖縄愛楽園」、鹿児島県の国立療養所「星塚敬愛園」を経て、1961(昭和36)年、岡山県の「県立邑久高等学校新良田教室」に入学。
その後、1967(昭和42)年、東京の中央労働学院で学び、1969(昭和44)年、社会福祉法人東京コロニーに入所。その後、東京コロニー及び社団法人ゼンコロ常務理事。
1997(平成9)年、『花に逢はん』(NHK出版)を上梓、第18回沖縄タイムス出版文化賞を受賞。
ついで、『夏椿、そして』(NHK出版)を著し、ハンセン病文学を問い続ける。
2004(平成16)年より、信州沖縄塾を主宰し、塾長となる。
2007(平成19)年11月、伊波基金日本委員会を創設。

主な著書
『ゆうなの花の季と』(人文書館 2007)
『ハンセン病を生きて──きみたちに伝えたいこと』(岩波ジュニア新書 2007)
『花に逢はん[改訂新版]』(人文書館 2007)
『島惑ひ 琉球沖縄のこと』(人文書館 2013)

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