新聞への思い
正岡子規と「坂の上の雲」
ジャンル[文学・文芸評論・歴史]2015年11月5日発行
四六判上製 256頁
定価:2,700円+税
ISBN 978-4-903174-33-4 C0095
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明治という激動と革新の時代のなかで
山茶花に新聞遅き場末哉 (子規 明治三十二年、日本新聞記者として)
司馬遼太郎の代表的な歴史小説、史的文明論である
『坂の上の雲』等を通して、近代化=欧化とは、
文明化とは何であったのかを、
比較文学・比較文明学的視点から問い直す!
「坂の上の青い天にもし一朶(いちだ)の白い雲がかがやいているとすれば、
それのみをみつめてのぼってゆく」明治の幸福な楽天家たちとその後の
「時代人」たちは、「坂の上」のたかだかとした「白い雲」のむこうに
何を見たのであろうか。
陸羯南(くが・かつなん)が創刊した新聞『日本』の「文苑」記者であり、
歌人・俳人・写生文家・正岡子規の軌跡を辿り、生涯の友・夏目漱石、
そして新聞人でもあった司馬遼太郎の視線(まなざし)から、しなやかに読む。
[目次]
序章 | 木曽路の「白雲」と新聞記者・正岡子規 |
---|---|
第一章 | 春風や──伊予松山と「文明開化」 |
第二章 | 「天からのあずかりもの」──子規とその青春 |
第三章 | 「文明」のモデルを求めて──「岩倉使節団」から「西南戦争」へ |
第四章 | 「その人の足あと」──新聞『日本』と子規 |
第五章 | 「君を送りて思ふことあり」──子規の視線(まなざし) |
終章 | 「秋の雲」──子規の面影 |
高橋誠一郎(たかはし・せいいちろう)
1949年、福島県二本松市生まれ。東海大学大学院文学研究科(文明研究専攻)修士課程修了。 東海大学外国語教育センター教授(ヨーロッパ文明学科兼担)を経て、現在は桜美林大学非常勤講師。
著書:『「罪と罰」を読む(新版)──〈知〉の危機とドストエフスキー』(刀水書房)、 『この国のあした──司馬遼太郎の戦争観』(のべる出版企画)、『欧化と国粋──日露の「文明開化」とドストエフスキー』(刀水書房)、『司馬遼太郎の平和観──「坂の上の雲」を読み直す』(東海教育研究所)、『司馬遼太郎と時代小説──「風の武士」「梟の城」「国盗り物語」「功名が辻」を読み解く』(のべる出版企画)、『ロシアの近代化と若きドストエフスキー──「祖国戦争」からクリミア戦争へ』(成文社)、『「竜馬」という日本人──司馬遼太郎が描いたこと』(人文書館)、『司馬遼太郎とロシア』(ユーラシア・ブックレット、東洋書店)、『黒澤明で「白痴」を読み解く』(成文社)、『黒澤明と小林秀雄──「罪と罰」をめぐる静かなる決闘』(成文社)など。