写真:水野克比古
装本:荒田秀也

日本精神史 
高きより高きへ

上松佑二(東海大学名誉教授・建築思想家)著

ジャンル[哲学・歴史・美学・リベラルアーツ]
2017年8月25日発行
四六判上製・280頁
定価:3,600円+税
ISBN 978-4-903174-37-2 C1010

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歴史の中の人間の叡智
空海、法然、親鸞、栄西、道元、蓮如ら仏教者、
世阿弥、千利休、松尾芭蕉ら芸術家、
さらには近世近代の思想家らの
「自我の秘蹟」を捉え直す。
透徹したものの観方、考え方として。

本書は、日本精神史を全体として、通史として見直す試みである。
日本の思想史ではない。思想史であれば、政治思想、経済思想、
文化思想を含むが、あくまでも日本の精神の歴史である。
本書はまたオーストリアの思想家、ルドルフ・シュタイナー(1861〜1925)の
思想を通して、日本精神史を「自我の秘蹟」として見直す試みでもある。
日本人の精神は思考と感情と意志において、古代、中世、近世、近代へと
ゆったりと発展してきた。
それは夢見のような状態から次第に目覚め、やがて昼の覚醒状態に至る
人間精神の発展である。
その生成と発展を辿ると、いつの時代にも人間の思考と感情と意志が働き、
その中心に日本人の自我が生きてきた。
このプロセスを「地上的自我」から「真の自我」に向かう「自我の秘蹟」の歴史と捉える。
本書は、このような日本の精神史を部分としてではなく、
過去、現在、未来の全体として見直す試みである。

[目次]

序にかえて生のあやうさを超えて──未来へ、新しい自我を求めて
第一章先史時代の日本の精神『古事記』──天地初めて発けし時、そして、それから
第二章古代の精神──律令と仏教文化、叡智の誕生
  聖徳太子、大化改新、役小角、行基、
  鑑真、景戒、最澄、空海、菅原道真、竹取物語
第三章中世の精神の系譜──浄土思想から禅へ
  源信、法然、親鸞、一遍、栄西、道元、日蓮
第四章近世の精神──意識的魂の時代
  世阿弥、蓮如、千利休、織田信長、藤原惺嵩、中江藤樹、
  伊藤仁斎、松尾芭蕉、新井白石、石田梅岩、安藤昌益、
  三浦梅園、山片蟠桃、海保青陵、本居宣長、平田篤胤、
  佐藤信淵、二宮尊徳
第五章近代の精神──闇から光の時代へ
  福沢諭吉、鈴木雅之、内村鑑三、清沢満之、鈴木大拙、
  西田幾多郎、宮沢賢治
結びに現代──混沌たる世界を、いかに生きるか

上松佑二(あげまつ・ゆうじ)


スイス・バーゼルの近郊、ドルナッハにて

1942年、長野市出身。
1966年、早稲田大学建築学科卒業。
1967-69年、スイス・ゲーテアヌム精神科学自由大学留学。
1977-79年、アレクサンダー・フォン・フンボルト財団客員研究員としてミュンヘン大学美術史研究所留学。
1982年、博士論文『近代建築論史に於ける建築空間論の系譜的研究』。
1987年、東海大学教授。「建築空間論に関する研究」で日本建築学会賞受賞。
現在、東海大学名誉教授。建築家。

著書:『世界観としての建築──ルドルフ・シュタイナー論』(1974年、相模書房)、『ルドルフ・シュタイナー』(1980年、パルコ出版)、『建築空間論──その美学的考察』(1986年、早稲田大学出版部)、『シュタイナー・建築 そして建築が人間となる』(1998年、筑摩書房)、『Aesthetics of Architecture Space』(2000 CA Press Seoul)、『建築美学講義』(2008年、中央公論美術出版)、『今井兼次に於ける建築と思想に関する研究』(2012年、中央公論美術出版)、『メタモルフォーゼ 上松佑二作品集』(2014年、東海大学出版部)。

訳書:R.シュタイナー『新しい建築様式への道』(1977年、相模書房)、H.ヴェルフリン『建築心理学序説』(1988年、中央公論美術出版)、H.ヴェルフリン『ルネサンスとバロック』(1993年、中央公論美術出版)。

建築作品:「善光寺外苑西之門」(1997年、長野建築文化賞)、「長野冬季オリンピック表彰式会場セントラル・スクゥエア」(1996年)、「三河屋商店」(1997年)。

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