海防僧 月性 
明治維新を展いた男

秋田博(ジャーナリスト・ノンフィクション作家)著

ジャンル[日本歴史・伝記]
2018年3月20日発行
四六判上製・280頁
定価:3,000円+税
ISBN 978-4-903174-39-6 C1021

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明治維新から150年、
日本の近代化とは何であったのか!

周防国(すおうのくに)遠崎(とおざき)村の
浄土真宗本願寺派妙円寺に、
月性(げっしょう)という若き僧侶がいた!

天保2年15歳の時に九州へ行き、佐賀や豊前で漢学詩文を学び、長崎で遊んだ後、
「男児 志を立てて郷関を出づ──人間(じんかん) 到る処 青山(せいざん)有り」
の詩を残して大坂へ行き、篠崎小竹の梅花塾に入り、塾頭となった。
ついで嘉永6年36歳の時に海防を自らの任として帰国して巡講に努め、
学塾「清狂堂・時習館」を開いて教育に当り、勤王僧とも海防僧とも称せられた。
そして月性は、西欧列強のキリスト教文明侵出に対して、
「宗教には宗教で、戦には戦で対峙せよ」と、町、村の
草莽崛起(そうもうくっき)による沿岸危機への海防実践を主張した。
国家の主権を守るための海防と勤王運動は表裏一体の思想であり、
海から生まれた勤王の大義なのであった。
本書は、松陰と月性、久坂玄瑞との邂逅にも触れながら、
周防の清狂・月性の思想と行動を跡づける。
方外の仏僧・月性の海からの歴史・文明史観であり、
老練なジャーナリストによる海洋史観でもある。
不透明な海図なき時代の羅針盤となるであろう!
危機の時代を考える必読の書である。

異色のヒューマン・ドキュメント、
渾身の幕末維新史!

[目次]

序 章「月性はどんな人物だ」 藩公が問う
第一章山海の地勢が人をつくる
第二章勤王と海防論に目覚める
第三章海からの脅威・異国船と植民地化
第四章耶蘇教侵入を鎖国制度で排除
第五章海の危機、歴史と思想・制度を生む
第六章海防・独立・尊王運動へ
第七章維新回天へ黎明の風
第八章倒幕、王政復古へ義兵を
第九章内憂外患制して国家新生へ
第十章皇国の大変革に備えよ
終 章明治維新 歴史が新しい歴史をつくる

秋田博(あきた・ひろし)

1931年、山口県生まれ。 55年 早稲田大学政治経済学部卒業。 読売新聞入社、経済部次長、pr委員会・読売経営セミナー事務局長、調査研究本部主任研究員、同本部次長91年退社。先端科学・技術交流の「東京テクノ・フォーラム21」創設に参画、事務局長、同顧問。
現在、読売新聞社社友、日本記者クラブ会員、日本エッセイスト・クラブ会員。この間、ノンフィクションで独自の境地を開き執筆を続ける。

著書
『凛の人 井上準之助』(講談社、1993年)、『銀行ノ生命ハ信用ニ在リ──結城豊太郎の生涯』(日本放送出版協会(NHK出版)、1996年)、『海の昭和史──有吉義弥がみた日本海運』(日本経済新聞社、2004年)、『周防人 月性 謹んで申す』(特定非営利活動法人CIMネット、2011年)

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