装画:「銀のバラード」
高山ケンタ

連作 後白河法皇 下
阿波内侍から島倉千代子へ 祈りの響き

高野 澄(歴史研究家・作家)著

ジャンル[歴史小説・歴史随想]
2020年5月25日発行
四六判上製・392頁
定価:3,900円+税
ISBN 978-4-903174-42-6 C0095

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歴史・鎮魂・平和、哀切のポエジー!

人間は過去と現在と未来に
同時に存在することはできない。
しかし、生と死、あの世とこの世、
「浮世」と「冥界」を知的想像力で交流し、
循環することは可能なのだ。

不死の魂の楽土へ!

自分の中に潜む「幻影の人」たち、
後白河法皇、女院こと建礼門院・平徳子、
阿波内侍、琵琶法師らが、
「こころの信号」で対話する。

「浮世」と「冥界」、時空を超える
知の循環[サーキュレーション]!

危機と激動の時代を超えて。
日本人の死生観を問い直す!

高野澄が琵琶法師に化身して、
語っては弾き、弾いては語り続けた、
稀有な《ヒストリア》の完結編!


「生」から「死」へ、そして「死」から「生」へ。

「迷う霊──亡魂」をつくらない人生。
「迷う霊──亡魂」とは表現がおだやかではないが、
結末と死がいっしょにやってくる失敗した人生だから、
死後に「個体」として存在するちからがなく、
否応なしに群れて、「群れの」なかの一個として迷うほかにない。
われらは亡魂を哀れな存在とみて、群れのなかに割ってはいり、
一個ずつの霊に分割する、それが慰霊ということの第一歩。
亡魂分割という作業を試み、鮮やかに成功した作業の結果を
言葉にして記録したのが『平家物語』なのだ。


後白河法皇は、果たして偉大なる暗主で、
日本一の大天狗であったのか。
はたまた、激動の時代に抗う「今様ぐるい」の
芸術家・アーチストであったのか。

[目次]

一ノ章見えずとも きっと見えます 見えました
二ノ章『新妻鏡』映画 主題歌 挿入歌
三ノ章弱いもの チドリ カナリヤ こども
四ノ章コトのハ
五ノ章満州から広がる戦地 三一〇万の戦没者
六ノ章戦没 靖国神社
七ノ章キミの名を呼ぶ
八ノ章島倉千代子 登場
九ノ章島倉千代子 ただ一本の声の筋
十ノ章お父つぁん おっ母さん
十一ノ章満州へ行った兄(あん)さ その後は?

高野 澄(たかの・きよし)

1938年、埼玉県坂戸市生まれ。同志社大学文学部社会学科卒業。新聞学を専攻。立命館大学大学院史学科修士課程修了。専攻は、日本近代史。立命館大学助手を経て、著述専業、歴史研究家・作家に。これまでの刊行著作は112冊。

主な著書
『徳川慶喜 近代日本の演出者』(NHKブックス)
『麒麟、蹄を研ぐ 家康・秀忠・家光とその時代』(NHK出版)
『武芸者で候 武蔵外伝』(NHK出版)
『風狂のひと 辻潤 尺八と宇宙の音とダダの海』(人文書館)
『オイッチニーのサン 「日本映画の父」マキノ省三ものがたり』(PHP研究所)
『京都の謎(シリーズ)』(祥伝社)
『文学でめぐる京都』(岩波ジュニア新書)
 (復刊タイトル『古典と名作で歩く本物の京都』)
『大杉 栄』(清水書院)
『連作 後白河法皇【上】 王朝活劇 歌の声』
『連作 後白河法皇【中】 大原寂光院 亡魂慰霊の鐘の音』(人文書館)など。

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