大城貞俊作品集【下】
樹響
でいご村から
ジャンル[小説・戦後史・沖縄論・人文学]2014年2〜3月発行予定
四六判上製・304頁予定
予定価:2,600円+税
ISBN 978-4-903174-29-7 C1093
こずえを渡る風の音を拾い
文字を刻み/夢の宿る樹を植えよう
生きるということは/生きるということ以外にない
それでもなお/それだからなおと/
希望を見据えながら (巻頭詩/部分)
自己を生き、他者と共に生きるということ
大城貞俊は、詩と詩論、そして小説を書き、卑小な存在として自己を問い詰めながら、生きることの意味を問い続けてきた。過ぎに過ぎて、内なる視点から、他者の具体的な日常へと想像力を飛翔させ、詩の世界から散文の世界へ飛び出す。心奥の詩の散文化である。
言葉づかいの美しさは、大城貞俊の詩人としての魂にあり、「ニライカナイ」(神々の国)の魂でもあろう。本作品集は、いくつもの短編を縒り合わせて、生きることの尊さ、愛のかたち、そして沖縄の現代性を問おうとする普遍的なテーマに繋げている。
現代沖縄文学を牽引する詩人であり、作家の静かな抒情集成である。
梢を吹き渡る風の音よ! 水平線の彼方の幻影の人よ!
あの海の果てには、天空に繋がる道がある!
[目 次]
巻頭詩/別れてぃどいちゅる/加世子の村/ハンバーガーボブ/でいご村から
[解説]鈴木智之(法政大学教授・文化社会学)
大城貞俊(おおしろ・さだとし)
1949年 沖縄県大宜味村生まれ。
1973年 琉球大学法文学部国語国文学科卒業。
県立高校教諭、県教育庁県立学校教育課指導主事等を経て、現在、琉球大学教授。
沖縄タイムス芸術選賞文学部門(小説)大賞受賞、沖縄タイムス教育賞受賞。
主な著書
詩集『夢・夢夢(ぼうぼう)街道』、評論『沖縄・戦後詩人論』『沖縄・戦後詩史』、小説『椎の川』(具志川市文学賞)、『山のサバニ』(戯曲「山のサバニ〜ヤンバル・パルチザン伝」第1回沖縄市戯曲大賞)、「サーンド・クラッシュ」(九州芸術祭文学賞佳作)、詩集『或いは取るに足りない小さな物語』(第28回山之口貘賞)、小説『記憶から記憶へ』、『アトムたちの空』(第2回文の京文芸賞)、『運転代行人』、『ウマーク日記』、『G米軍野戦病院跡辺り』(人文書館)ほか。